2020.06.05
私は大人になってから、引きこもりのニート生活を始めました。
もともとそれなりに外へ出ていたと思う。人との関わりもあった。
でもふいに、「なぜ外に出ないといけないんだろう…」と心が折れて、そのまま引きこもり生活になったんだ。
家の中は自分を傷つける人がいないから安心。
社会は不条理で溢れかえっているから、必死になって自分の身を守らないといけない。
好かれるために頑張って、裏切られて傷ついて、大した理由もなく嫌われて…。
辛い現実の中で力強く生きられる人もいる。だけど、自分はそうじゃない。
毎回酷く傷ついて、ショックを受けるたびに心がへし折れるし、立ち直るには時間が必要。
本当にたくさんのことがあって、「引きこもり」という選択に行きついたんだ。
若年層に対して使われやすい「引きこもり」という言葉。
実際には「大人の引きこもり」も数多くいて、ふとしたきっかけに部屋から出なくなってしまうケースが少なくありません。
では、いったい何歳からが“大人の引きこもり”なのか?
人によって考え方は異なりますが、20代半ばからが判断基準の一つと考えられます。
大学や大学院を卒業して就職する時期には、少しずつ「自立」を促す世間の風潮が強まるように。
この20代半ばの時期に部屋に引きこもってしまうと、周囲との差がどんどん開いて“社会復帰”の難易度が上がっていきます。
さらに、30代、40代、50代などの人も「大人の引きこもり」になるリスクは充分にあり、引きこもりに至るまでの“理由”も様々です。
大人が引きこもりになる場合は、何かしらの“きっかけ”があることがほとんど。「強い精神的ショック」を伴って引きこもりになるため、背景には複雑な心理が隠れています。
身近な人が引きこもりで、気持ちを理解したい。
自分が引きこもりになった原因を知って向き合いたい。
こうした人へ向けて、まずは大人が引きこもりになる原因をご紹介。
むやみに引きこもりを脱却しようとすると、再び心が折れる可能性があります。無理だけはせずに、じっくりと心を回復させましょう。
リストラされると「社会から見放された気分」になり、自身を失ったり自己嫌悪に陥る可能性があります。
人は仕事を通して自分の存在価値を認識するもの。
「クビになる経験」は、自分の存在価値そのものを否定されたような感覚です。
ショックを受けてそのまま引きこもりになったり、再就職を試みるものの上手く行かなかったり…。
一度人生の歯車がかみ合わなくなると、自分の居場所を社会に見つけられず、引きこもりになってしまうのです。
突然の病気に見舞われて失業することもあります。
病気を患いながら働き続けるのは簡単ではありません。
回復しても以前のように頑張れなかったり、フルタイムが厳しかったり…。たくさんの制限があればあるほど、働き口を見つけることが難しく、自信も失われていくのです。
また、病気だけでなく「怪我による失業」も辛いもの。病気も怪我も予想することは難しく、突然の失業で途方に暮れて引きこもりになってしまいます。
人は生きているほとんどの時間を「仕事」に費やします。そのため、仕事の充実度ややりがいは、人生そのものを大きく左右するのです。
仕事がうまくいかないと自信を失って「自分なんて価値のない人間だ」「誰からも必要とされていない」と感じるように。
職場の人からのプレッシャーや叱責が合わさると、さらにネガティブな感情は増長されていきます。
そして、心がすり減った末に「もう社会に出る意味なんてない」という結論にたどり着いて、引きこもるようになるのです。
責任感が人一倍強い人は、「他人に迷惑をかけたくない」「自立しないと」という意思から多くのストレスをため込んでしまいがち。
社会に出るたびにパンクを繰り返し、「家にいる方がマシ」「外に出るとまた失敗する」という感覚が根付いていきます。
生きるうえで“完全にストレスをなくす”のは困難。上手にストレスを受け流せない性格の人は、最終手段として「引きこもり」を選ぶこともあるのです。
離婚で受ける精神的ショックはかなり大きいといわれています。
別れを選んで実家へ出戻った際、あまりの辛さにそのまま「引きこもり」になってしまうケースも少なくありません。
専業主婦などの“外部との関わり”が希薄な人ほど、心の拠り所を求めて実家に引きこもる傾向に。
もう二度と傷つきたくない。また働き始める気力なんてない。
離婚によるショックは、あらゆる行動の足かせとして長く残り続けます。
いわゆる「ブラック企業」に就職して過重労働に見舞われたり、パワハラ・セクハラなどの職場トラブルに巻き込まれたり。
就職で思いもよらない事態に陥り、そのまま退職して引きこもりになるケースもあります。
一度こうした経験をすると、「自分はどの会社で働いても無理」「社会に適応できない人間なんだ」と自信を無くしてしまうことも。
また、過労やパワハラなどで心の病気を発症すれば、時には長い年月をかけて向き合っていく必要もあります。
リアルな世界よりも「インターネット・ゲームの世界」の方が魅力的に感じると、そのまま依存して部屋から出ない「引きこもり」になることがあります。
根本には「現実世界への不満」や「現実逃避したいという思考」が隠れていることも。
無心になっている間は辛い現実を忘れられます。
そもそも外に出る意味を見出せないからこそ、中毒性のあるバーチャル世界に強く惹きつけられているのです。
大人が引きこもりを続ければ、年齢を重ねて「中年(40歳前後)」になっていきます。
20代や30代のうちは不安要素が少ないとしても、中年になると様々な問題を抱えるように。
そして、問題と向き合うことができないままでは、いつか「望まない未来」を迎える可能性もあります。
ここからは、中年の引きこもりが抱える4つの問題をご紹介。
「大人の引きこもり」のいったい何が問題なのか、リアルな悩みを覗いてみましょう。
中年の引きこもりはいざ「生活のために働かないと」となっても、就職先を見つけることが困難になります。
年齢が上がるにつれ就職先の選択肢は減るように。同じ条件で若い人が応募すれば、どうしても採用の可能性は下がってしまいます。
また、働いていない期間が長いと体力面でも心配が出たり、急な変化でメンタルの不調も起こしやすくなるのです。
中年以降は“若さ”や“体力”が落ちる分、「今までの経験や知識」で仕事をこなす必要が出てきます。
大人の引きこもりは「ニートでも養ってもらえる環境」があってこそ成立します。
そのため、親が定年を迎えて年金暮らしになれば、生活が困窮するように。
そして、お金のために働こうとすると、前述したような「就職しにくい」という問題が立ちはだかるのです。
また、親が病気や怪我で働けなくなれば、生活が困窮するだけでなく、自分が支えなければならない立場となることも。
「引きこもりできる環境」はわずかなバランスの変化で崩れてしまいます。
引きこもりに至るには様々な理由があると前述しました。
家族や友達なら理解して寄り添えます。ですが、「大人の引きこもり」に対して、世間が持つイメージは必ずしも良いとはいえません。
実際に大人の引きこもりと接する機会がない人は、テレビやニュースで報道される情報を見て「引きこもり」のイメージを深めます。
ネガティブな意味合いの報道が多く、深く理解せずに悪気なく「偏見」を向ける人も少なくないのです。
近年の時代の変化は目まぐるしいものとなっています。
引きこもりをしていると世間と切り離され、どんどん埋まらない溝が深まっていくのです。
唯一の情報源はインターネットや身近な人から得られる話のみ。これだと、リアルな世間との温度差は大きくなり、外に出る機会を失いかねません。
完全に社会との繋がりを遮断することは、一時的に「安心」を得られますが、後々向き合う時の「摩擦」を増長させます。
適度な関わりがあった方が、将来の生きやすさは守られるのです。
ここまではどちらかというと「自分が直面する問題」に注目してきました。
ところが、大人の引きこもりは家族へも大きな影響を与えます。周囲が抱える悩みにも目を向けることで、少しずつ「大人の引きこもり」の問題点が見えてくるように。
そこでここからは、家族と向き合わなくてはいけない理由を3つご紹介していきます。
自分自身を責める必要はありません。自分の中の考えを整理するきっかけの一つとして、理由をチェックしていきましょう。
引きこもりの状態では「養ってもらう立場」ですが、いずれ反転して「自分が支える立場」になります。
高齢化により「親の介護」が必要になった時、いったい誰が養って面倒を見るのか?
お金に余裕があればデイサービスを受けたり、施設で暮らすという選択肢も。ところが、引きこもりの子供を養った後に残る貯金はそう多くありません。
大人の引きこもりはこうした「親の老後への影響」も伴うのです。
実際に働いて養っている親は「社会の厳しさ」を肌で感じています。
親が生きている間は養えるとしても、いざ亡くなったらどう生きていくのか?
“長年の引きこもりの末に就職すること”の大変さを知っているからこそ、心のどこかで「私が死んだらどうなるんだろう…」と深く悩むのです。
親の死後の生活を安定させるには、早い段階から計画的に働いて貯金を積み上げる必要があります。
問題に直面する前に行動することが欠かせないのです。
家族が引きこもりの大人を「恥」として世間から“隠すケース”や、社会から守るために“かくまうケース”も。
これにより社会との関わりがさらに減り、社会復帰が難しくなるリスクがあります。
実際に引きこもっている側からすると「恥」と思われるのは辛いこと。しかし、家族が「引きこもり」を受け止めきれる余裕を持っているとは限りません。
大人の引きこもりは家族への負担が大きく、いざ直面すると「いけないもの」として隠したくなる心理があるのです。
心がすり減って引きこもりになった大人にとって、「家族」が唯一のライフラインになります。
ところが、家族のみにSOSを求め続けると、家族の人生を揺るがす大きな負担になりかねません。
もう一人で頑張りすぎなくても大丈夫。
どうしても辛くて引きこもりを続けてしまうなら、「社会にSOS」を出してみましょう。
支援施設を頼ったり、カウンセリングで心の傷を癒したり…。専門機関の人たちは、全力であなたを支えてくれます。
また、もし内向的な性格だとしても、それを活かせる適職を選べばOK。周囲からサポートを得られる環境で、無理せず誰かの力を借りて頼ることも大切です。
まずは自分の意思で社会の誰かを頼ってみましょう。
たった一歩でも、積み重ねれば大きな前進になります。
私が引きこもりになった時、「もうこの社会で生きていけない」と絶望していた。
最初は些細な仕事のミスから始まった。
叱責が怖くてビクビクしたらさらに失敗を重ねて、歯車が狂ってしまったんだ。
これ以上他人に迷惑をかけたくない。そして、これ以上傷ついたら壊れる。
そう思って私は引きこもりになった。
でも、もう一度私の人生を歩いてみたい気持ちもある。
まずは「自分の心を癒す」ことから始めてみよう。
気付くと自分の中に閉じこもって、悶々と考え込む毎日が続いていた。
だけど本当はもっと誰かと出会いたい。
心から笑い合える日々を楽しみたい。
ちょっとずつでも心が軽くなったら、この辛い時期を乗り越えたら、今以上に私らしく輝けると信じて。
※この記事は、悩んでいる方に寄り添いたいという想いや、筆者の体験に基づいた内容で、法的な正確さを保証するものではありません。サイトの情報に基づいて行動する場合は、カウンセラー・医師等とご相談の上、ご自身の判断・責任で行うようにしましょう。
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