2020.01.20
お酒とセックスで脳の報酬系がおかしくなり、ぐちゃぐちゃな生活リズムによって自律神経も乱れ、メンタルヘルスがこれでもかと悪かった時期から今年でもう三年近く経とうとしている。
今や月数回程度しか繁華街へと繰り出さず、Amazonで注文したワインや品揃えのいいスーパーで買うクラフトビールを嗜む程度に飲みながら、テレビでサブスクリプションサービスを流す毎日。
当時のような「付き合うなら、絶対にハイスぺ!高学歴!」といったスタンスも無く、男性の肩書きだけを目当てに食事へ赴くことさえも無くなった。
誰かから欲しいと思っていたハイブランドの鞄や財布も、関係が持ち直した家族から貰ったり、はたまた自分で買ったりして欲を満たせている。あんなにも繰り返していた誰かの視線の為の買い物もやめられた。
生活が変われば、必然的に関わる人間も変わる。
以前は
「女は男によって人生が変わる」
「いい恋愛が人生を豊かにする」
「隣にいる、近くにいる男が自分の価値」
といった言葉がよく耳に入ってきていたが、
今は
「恋愛が駄目でも一人で生きていけるようになろう」
「結婚はしなくても良いけど、子供は欲しい」など。
両極端と言ってしまえばそれまでだが、周りにパートナーの存在で自らの価値を決定しないという確固たる意志を持つ人たちがいてくれるのは非情に心強い。
けれど、逆にその意志を持ってもいい時代だからこそ、新たな悩みも生まれるのだと知った。
この記事を書いている今、部屋のテレビには最近Netflixで配信が始まった『男はつらいよ』が止めどなく流れている。現在、映画シリーズ50作中22作目だ。何かの修行では…と頭を抱えないかと言えば嘘だが、この名作中の名作が教えてくれたこともある。
現代の女性が何故“メンヘラ”になってしまうのか。その疑問を解決するヒントが作品には散りばめられていたのだ。
22作目までの舞台(制作年)となっているのは、1969年から1978年。高度経済成長期もあり、敗戦国の戦後から先進国へと移り変わり始めた時期と合致している。皆が輝かしい将来を夢に見て、今日よりも明日の生活が良くなっているのだと信じて生きていた時代。
女性も学校卒業と同時に就職はしていたものの、それも結婚までの短期間であった。結婚(恋愛結婚なんて珍しかった)を機に退職をし、その後は家と子供を守る。
良い悪いではなく、当時の女性の役目…いや、女性としての“当たり前”がそうだったのだ。今の“当たり前”である『男女雇用機会均等法』の成立が1985年と考えれば、想像がし易くなるかもしれない。
『女の幸せ=家庭に入ること』な時代を1970年、婚前交渉の一般化(フリーセックスの普及)がバブル期である1990年と仮定すれば、前者からは50年。後者からは30年しか経っていないのだと気づけるだろう。
そう、たったの50年!性の自由化なんて、30年ぽっちの歴史しか無いのだ!
そうだとすれば、私たちが最近頭を悩ませる
「女の幸せを手にしたいけど、自分のパーソナリティに合っていない」
「結婚したい人はいないけど、しないと世間体が…」
「恋人が結婚に前向きじゃない」「セックスはしたいけど、恋愛は面倒」
といった悩みは、たかが30〜50年の歴史しか持たないことになる。
長くて半世紀、短いとそれ以下。つまり、この悩みに関しては、圧倒的に世間の見識不足でしかないので、解決できなくてもこれはもう仕方がない。
セフレからの昇格や、付き合う前のセックス云々など、日常生活やSNSで毎日のように見聞きする恋愛関係の問題。
それも30年ぐらいの歴史しか無いのだと思えば、死ぬほど悩んでいる人も、そしてその人に対して辛辣な回答をしている人も、全員可愛いと思えてしまう。
自分の年齢と歴史を合算したところで、図書館に置いてある本や教科書の内容には到底適わないのだ。
であるとすれば、今この瞬間の“当たり前”を基準として反芻思考に陥るよりも、「まあ、あと5年もすれば意外と大丈夫かも」といった楽観的思考で過ごしていく方が何倍も楽しい人生に違いない。
時代には抗えないが、時代を創っていくことは可能だ。
1970年に生きた女性が悩んだ「恋愛の果てに結婚があってほしい」や、1990年に生きた女性が抱えた「もっと色んな男性とセックスしたい」は、2020年現在ではすべて“当たり前”となっている。
今の悩みが時代を創っていく。身体にのしかかるほどの悩みがあるとすれば、あなたは時代を創っている最中と言っても過言ではない。
当たり前に疑問を向け、当たり前を創っていく。病んでいる状態だって、未来を産み出しているのだ。
マドカ・ジャスミン
著書「Who am I?」発売中
※この記事は、悩んでいる方に寄り添いたいという想いや、筆者の体験に基づいた内容で、法的な正確さを保証するものではありません。サイトの情報に基づいて行動する場合は、カウンセラー・医師等とご相談の上、ご自身の判断・責任で行うようにしましょう。
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