2019.07.05
目次
パンセクシャル・全性愛者とは?
パンセクシャルとバイセクシャルの違いは?
パンセクシュアル6つの特徴
パンセクシュアルの恋愛の形
様々なセクシャリティの種類
性別で恋愛をしないセクシャリティ
あなたはパンセクシャルという言葉を聞いたことがありますか?
パンセクシャルとは全性愛者とも呼ばれ、「身体及び心の性別にかかわらず、全ての人を恋愛・性愛の対象とする人」という意味です。略して「パンセク」とも呼ばれます。
人は生まれた時の性別によって、男性・女性というジェンダーに当てはめられます。
しかし、自分の認識している性別、性自認が男性にも女性にも当てはまらない人もいるのです。
身体の性別は男性だけれども、心の性別は女性の人。体の性別は女性だけれども、心の性別は男性の人。どちらの性別もしっくりこない人。場面によって認識する性別が変わる人。まだ自分の性自認がどちらなのか迷っている人もいます。
そして、それとは別にセクシャリティと呼ばれる性的指向が存在します。
自分と違う性別の人を愛する異性愛、自分と同じ性別の人を愛する同性愛、両方の性別の人を愛する同性愛。
そして、全ての性別や性自認、性的指向の人が恋愛や性愛の対象となる人を、両性愛、パンセクシャルと呼ぶのです。
パンセクシャルとバイセクシャルの違い。この二つは定義が似ているため、間違えたり頭の中でこんがらがってしまう人も多いと思います。
バイセクシャルは日本語に直せば、同性愛者となります。つまり、男性と女性、両方を恋愛や性愛の対象にできる人のことです。
一方、パンセクシャルは全性愛者です。これは恋愛対象を男性、女性というジェンダーに縛りません。そしてセクシャリティについてもまた同じ。つまり、外見と内面の性別が一致していなくても、戸籍上の性別と自認している性別が違っても、恋をすることができる人です。
相手が異性でも同性でもトランスジェンダーでも、パンセクシャルの人の前では恋愛をするのに障害になることはありません。もちろんお互いの相性はありますが広い意味では人間そのものを愛する、博愛主義者に近いものなのかもしれません。
相手がパンセクなのかというのは、パッと見ただけでは分からないことが多いです。しかし、パンセクシュアルだからこその「こんなことを経験した」ということもあるはず。パンセクシュアルならではの特徴についてみていきましょう。
LGBTQの認識が広まってきたことにより、以前よりは知っている人が増えましたが、パンセクシュアルという言葉はまだまだ一般的に認知されているとは言い難いです。
どちらかというと、両性愛者であるバイセクシャルの方が知られているため、バイセクシャルと勘違いされてしまうこともあります。しかし、相手は知らないだけで悪気があるわけではないでしょう。もし、相手が気の知れた友達や自分のセクシュアリティを教えても良いと感じる人だったら、これを機会にパンセクシャルのことを教えてあげるのもいいかもしれません。
「性別に関係なく全ての人が好き」と言って頷いてくれる人もいますが、時には「変わっている」と思われることもあります。人間は異性と恋愛し、結婚し、家庭をもち子供を育てるもの。そのような世間一般的な価値観で考えが固まってしまっている人には、「異性以外を愛せる人」が不思議な存在に見えます。時には否定され、傷つくこともあるでしょう。
自分のセクシュアリティを無理に言うことはありません。心無い一言で傷ついてしまわない様に、信頼している人以外にはカミングアウトしないというのもひとつの選択です。
「みんなのことが好き」と言ってしまうと、時にはチャラいと思われてしまうことがあります。よくナンパをする男子の中には、「女の子はみんなかわいい」「女の子ならみんな好き」という言葉で口説いてくる人がいますが、それと同じように捉えられてしまうのです。
パンセクシュアルは性自認に関係なく全ての人を恋愛対象とできる、というだけで、誰にでも無差別に愛を囁いたり付き合えるならだれでもいいという訳ではありません。他の性的指向を持つ人と同じように、好きになる人はひとりだけです。
パンセクシュアルの人は全ての人を恋愛対象とできるため、恋した相手の性別にこだわることがありません。それは外見だけではなく、心の性別や、外見からでは分からなかった本当の身体の性別が分かっても同じことです。
トランスジェンダーの人の中には、身体の性別が男性でも化粧をし女性ものの服を着て、限りなく女性に近い格好をして生活をしている人や、自分の本当の性別を隠して生きている人もいます。そのような人たちを好きになって身体の性別を知ったとしても、パンセクシュアルの人はそこで恋が冷める、ということはないのです。
パンセクシュアルの人が性愛を向けるのに、性別は関係ありません。相手の身体の性別が何であっても好きな人が相手であれば性的に興奮し、セックスをする対象として見ることができます。
そのため、身体の構造などはパンセクシュアルの人にとっては単なる情報のひとつでしかなく、それが性愛の枷になることはありません。
パンセクシュアルの人の中には、男らしさや女らしさを求められることを苦しく感じる人もいます。これは自分自身の経験から、ジェンダーが二分化できるものではないということを知っているからです。
そのため、社会に決められた「男性の役割」「女性の役割」という枠にはめられることを苦痛に思うことがあります。
全性愛と一言で言っても、当事者でなければピンとこない人も多いでしょう。どんな人に恋心を抱くの?どんなふうに愛し合うの?パンセクシュアルの人の恋愛の形を、少し覗いてみましょう。
全ての性別が恋愛対象のため、性別の枠を超えて恋をするのがパンセクシャルの人です。異性愛者の人は世界の人口の半分、異性のことしか恋愛対象としてみることができません。
しかし、パンセクシュアルの人は、例えば自分が女性であっても、女性のことを好きになることもありますし、もちろん男性やその他の性自認の人に恋をすることもあります。言い換えれば世界中全ての性別の人が、恋愛対象になり得るのです。
パンセクシュアルの人は性別が原因でセックスができない、ということがありません。体の構造が違う相手であっても同じ相手であっても、分け隔てなく受け入れることができます。
女性の心を持っていても男性の身体だからセックスできない、男性の心を持っていても女性の身体だからセックスできないということがあれば、その人はパンセクシュアルではなく、別のセクシュアリティに当てはまる可能性があります。
LGBTQの認識が広がってきたといえど、日本ではまだまだ異性愛以外の恋愛は特別だと思われることが多いです。そのためパンセクシュアルという性的指向に馴染みのない人に言うと、特殊な恋愛をしていると思われることがあります。
しかし、パンセクシュアルの人にとって、相手がどんな人であれ普通に恋愛をしていることと変わりありません。何が特殊か、特別かということは人によって定義が変わります。パンセクの人にとってはどんな性別の人と恋愛をしても、それが特殊な事ではありません。
パンセクシュアルであることを伝えると、異性に恋をしないと思われがちです。しかし、全ての人が恋愛対象になる可能性がある、ということはもちろん異性も恋愛対象となります。そのため、異性愛者の人と同じように、異性を愛することもあるのです。
異性にも、同性にも、性自認がはっきりしない人にも、どんな人でも恋愛対象になる可能性がある性的指向、それがパンセクシュアルなのです。
「性別はグラデーション」という言葉があります。これは性の多様性を表す言葉です。
この言葉の通り虹色に見立てることができるほどに、いろいろなセクシャリティの人が世の中にはいます。セクシュアリティの多様な一面をひとつひとつ、少しずつ知っていきませんか?
バイセクシャルは両性愛者を意味する言葉です。これは、男性と女性、両方の性別の人が恋愛や性愛の対象になる性的指向の人を指します。歴代の恋人に彼氏と彼女どちらもいるという人に出会ったら、このバイセクシャルである可能性が高いです。
昔から異性と同性両方に恋をしていたという人もいれば、自分は異性愛者だと思っていたのに雷に打たれたように突然同性を好きになったという人もいます。子供のころから自覚がある人もいれば、大人になってからバイセクシャルであることに気づく人もいます。
レズビアンは恋愛、性愛共に女性だけが対象になる女性のことを指します。同性愛者とも呼ばれ、男性には恋愛感情を抱くことはなくまた性的欲求を抱くこともありません。
近年はレズビアン同士の恋愛のことを「百合」といい、漫画やアニメなどで取り上げられることも多いです。また、「レズ」という略称には不快感を感じる人も多いため、略称として使う時は「ビアン」が多く用いられます。
ゲイは男性の同性愛者のことを指します。恋愛、性愛ともに男性を対象とする男性のことです。日本では男性の同性愛者を指すことが多い言葉ですが、広い意味では同性愛の人たち全てを指すこともあります。
最近はTVなどで、オネエタレントが注目されることも多いため、ゲイについては広く周知されるようになってきています。ただし、オネエ言葉を使う人が必ずしもゲイな訳ではなく、異性愛者の男性と変わらない外見や言葉遣いをするゲイの人も多くいます。
トランスジェンダーは、身体の性別と心の性別が一致しない人のことを指します。性同一性障害とも呼ばれ、最近ではトランスジェンダーを取り上げた番組や、トランスジェンダーの登場人物が出てくるドラマも増えてきています。
トランスジェンダーの場合、身体は男性で性自認が女性のひとは「MtF」、身体は女性で性自認が男性の人は「FtM」と呼ばれることがあります。ホルモン治療などで心の性別に合わせて身体を作り変えている人も多く、ぱっと見ただけでは性別が判断できない人もいます。
アセクシャルとは、他者に恋愛感情や性的な欲求を抱くことのない人のことを意味します。無性愛者とも呼ばれ、性自認や性的指向にかかわらず恋愛や性愛を向ける対象がいません。これは意識的、意図的に恋愛をしないようにしている訳ではなく、このような性的指向なのです。
しかし、アセクシャルだから愛情がないのだ、という訳ではありません。アセクシャルの人でも他者に愛情や友情を抱くことはあります。恋愛対象にはならないけれど、人生を一緒に生きるパートナーが欲しいという意味で結婚願望がある人もいます。
ノンセクシャルとは、他者に恋愛感情を抱くことはあるが、性的欲求は抱かないセクシュアリティのことを指します。非性愛者とも呼ばれ、アセクシャルと間違われることも多いですが、恋愛感情を抱くかどうか、という違いがあります。
ノンセクシュアルの人が恋人に対してできる行為には人によって違いがあり、キスは出来るけどセックスはできない人、手を繋ぐまでしかできない人などさまざまです。また、過去にトラウマを抱えて、肌を交わすことが出来なくなってしまったという人もいます。
Xジェンダーとは性自認が、女性でも男性でもない人のことをいいます。自分の性別がどちらだか分からなかったり、どちらの性別もしっくりこなかったり、男女という枠に自分をはめることに抵抗を感じる人など、こちらも種類は様々です。また、今日は男性の気分だけど、昨日は女性の気分だった、というように男性と女性を行ったり来たりする人もいます。
シスジェンダーという言葉は、初めて聞いたという人も多いのではないでしょうか。シスジェンダーとはトランスジェンダーの対義語として生まれた言葉で、身体の性別と性自認が一致している人のことを指します。
ヘテロセクシュアルと何が違うの?と思うかもしれませんが、ヘテロセクシュアルは恋愛、性愛ともに異性を対象とする人を指します。つまり、シスジェンダーは性自認で、ヘテロセクシュアルは性的指向なのです。シスジェンダーでヘテロセクシュアルの人もいれば、シスジェンダーでゲイ、またはレズビアン、という人もいます。
パンセクシャルの恋愛に、性別は関係ありません。
好きなタイプを聞かれると、よく「好きになった人が好き」という人がいます。パンセクシャルはそれの最も広いもの、という風にとらえることができるかもしれません。あらゆる性別や性自認の壁に邪魔されず、「好きになった人が好き」なのです。
パンセクの人の中には、自分が異性愛者ではないことに悩んでいる人もいるかもしれません。恋人を作ることも結婚することもできないかもしれないと、嘆く人もいるかもしれません。
しかし、恋愛をするのに性別の隔たりがないということは、この世界にいる全ての人と恋ができる可能性があるということです。それは誰にでもできることではありません。
様々な人を愛することができるパンセクシャルの人は、素晴らしい可能性と感情をもっています。それは誇りに思うべきものだと信じてやみません。
※この記事は、悩んでいる方に寄り添いたいという想いや、筆者の体験に基づいた内容で、法的な正確さを保証するものではありません。サイトの情報に基づいて行動する場合は、カウンセラー・医師等とご相談の上、ご自身の判断・責任で行うようにしましょう。
人に話せない悩みも、今まで居場所がないと悩んでいたことも全て、ここでなら話せる。自分が一歩を踏み出せば、世界が変わる。今辛い自分は、明日には笑えるかな?そんなあなたへ。待ってるね。
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