2019.06.20
深夜1時。
お風呂上がりに、電話が鳴った。
スマホのバイブ音に合わせて、心拍数が上がっていく。
あなたからだ。
一瞬の間に頭の中で考えを張り巡らせる。
迷っても、結局出るのにね。
少しの躊躇を感じながら、電話を取る。
「…もしもし。」
「もしもし。」
たった四文字のこの一言に、全身が翻弄される。
普段は口数の少ないあなたが、今日は妙によく喋る。
嬉しいことがあったのかな。
電話の向こう側にいるあなたの姿を想像する。
あなたは今、何を着ている?
あなたは今、何を飲んでいる?
あなたは今、どんな顔をしている?
あなたの心には、私以外の誰かがいる?
あなたは、なぜ私に電話をかけてきたの?
聴きたいことはたくさん。
何一つ尋ねることはしない。
贅沢な私は、答えが欲しい。
私が望んでいる答えだけが欲しい。
望んでいる答えじゃなかったらと考えて、怖くなる。
だから何も聴かずに、会話を続ける。
居心地の悪い、沈黙の時間。
何か喋った方がいいのかな、なんてちょっぴり焦って、胸は変な高まりを覚える。
結局言葉は出てこなくて、黙ってしまう私。
あなたがまた口を開く。
ああ、きっとあなたは今笑っている。
それだけで、私の心は十分。
焦りを覚えた胸の高まりは、心地よい鼓動へと変わっていく。
自分の鼓動を感じて、私は生きているのねと感じる。
あなたと電話をするのは、何回目だろう。
あなたと話をするようになって、どれ位の時間が経っただろう。
いつか、あなたとの「明日」が当たり前になるのかな。
「また明日」が続く毎日に慣れていくのかな。
いつ電話をかけても良い関係になれるのかな。
電波越しじゃなくてもつながれるようになるのかな。
そんな日が来ればいいのに。
…ううん、来なければいいのに。
いつか終わってしまうのならば、そんな日は来なくてもいいのに。
叶って欲しいはずの恋。
それは、叶って欲しくない恋。
終わりが来る恋はしたくない。
始まることさえなければ、終わることもない。
そう思っているのにね。
私は懲りることなく、またあなたに恋をする。
あなたを手に入れたくて、近づいてしまう。
終わりは怖い。
それでも私は、あなたが欲しい。
神様が居るのなら、迷わずにこうお願いする。
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