2019.05.31
泣いちゃいけない。
泣いたら馬鹿にされる。
泣いたら笑われる。
小さい頃から、そう強く思って生きてきた。
泣くことはダメなことだと思って生きてきた。
同級生のよく泣く男の子は、情けなく見えたし、
よく泣く女の子は、ズルいように見えた。
「私はそんな風に思われちゃいけない」なんて義務感を背負うようになって、小学生の頃から泣くことを避けてきた。
泣いた回数はとても少なくて、全部をはっきり覚えている。
小学2年生で、初めて学校内で大泣きしてしまったこと。
中学では一度も泣かなかったこと。
高校の部活で一度だけたくさん泣いたこと。
たったそれだけ。
人前で泣くことは、私にとっては許されないことだった。
泣きたい瞬間は、たくさんあったはずだ。
悔しいことも、悲しいことも、感動したことも、嬉しかったことも。
結構たくさん経験してきている。
でも、私は泣かなかった。
歯を食いしばって、我慢した。
どうしても泣きたい時には、お風呂の中で一人で泣いた。
「人に見られちゃいけないから」
誰にも見られないのは、お風呂の時間だけだった。
ずっと涙を我慢していたら、いつの間にか自分の感覚が分からなくなってきて。
「私って、泣けないんだっけ?」なんて思うようになっていった。
映画を見ても、ドラマも見ても泣かないし。
みんなが泣いてるところでも泣かないし。
人が感じるもの、全部どこかに置いてきたのかな、なんて。
自分の感覚が遠くどこかに消えてしまった。
人間として持っているはずの感受性をなくしてしまった。
本当は、違ったの。
私の感受性は、どこにも消えてなんていなかった。
ただずっと泣くのを我慢していたから、涙が出ることを避けて通っていただけだった。
一度タガが外れたかのように泣き出してからは、涙はとめどなく流れた。
ほんのちょっとのことで、簡単に泣くようになった。
自分って繊細なんだな、なんて気付いた。
全部、我慢していただけでした。
泣き虫になってみて、気付いたこと。
涙を流すのは、おかしいことでもない。
悲しいことがあれば、泣きたくなる。
苦しいこともしんどいことも、泣くことで乗り越えられることだってある。
涙のおかげで、また前を向くことができる。
泣くのを我慢する必要はない。
泣き虫でも大丈夫。
泣いて泣いて、心を浄化してあげよう。
たくさん泣いて、泣き疲れたら、涙もちょっと収まる。
そしてまた朝を迎えたら、歩き出せるから。
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