2019.04.30
生きていると、当たり前に時間は進んでいくわけで。
私も、いつのまにか生きてる時間がどんどん長くなっている。
今も変わらず、毎日は進んでいく。
貴方と過ごした日々は、どんどん遠くに離れていって、当然時間も経っている。
どんなに毎日が変わっていっても、
大切にしていた気持ちだけは、
いつまでも大切に、忘れずに、生きていこう。
そう思っている。
そう思っているのに。
いつのまにか、貴方との日々が、手からこぼれ落ちていくかのように消えていく。
貴方は、よく笑っていた気がする。
どんな笑顔だったっけ。
大きな声で笑うわけではなくて、はにかむような笑い方。
声を出して笑う時は、本当におもしろくて、楽しい時。
私だけに向ける笑顔も、あった気がする。
どんな笑顔だったっけ。
もう、思い出せなくなってしまった。
貴方は、冷たい人だった。
冬の寒い日に、二人で公園に居た時の、貴方の冷たくて凍えそうな手のひら。
必死に手のひらを温めようとしたのを覚えている。
あの時流れていた、確かに暖かった空気は、どんな色をしていた?
そんな風に思ったのに。
あの日の出来事は覚えていても、あの日のぬくもりも、色も、もう思い出せない。
貴方は、厳しい人だった。
私は、貴方の大切にしていることを傷つけないようにと、食らいつくことに必死だった。
だから私は、居ても問題ないくらいの存在感で、邪魔にならないようにと努めた。
怒られたことも、たくさんあった。
喧嘩をしたことも、数えきれないほどあったはず。
でももう、貴方とぶつかり合った温度も、貴方の怒った顔も、思い出せない。
貴方が記憶から遠のいていって、徐々に薄れていって。
今の貴方とか、私はまったく知らない。
私の世界には、もう貴方は居ないから。
私には、貴方が人間かどうかさえ分からない。
あんなにも、毎日を一緒に過ごした人だったのに。
思い出せなくなっているのは、貴方の姿だけじゃないの。
貴方を思って過ごしていた、私の姿もどこにも居なくなってしまった。
そんな風に信じていたのに。
貴方のことが好きで好きで仕方なかった私の姿とか。
貴方に会えると決まっただけで喜んでいた私の姿とか。
貴方のためにプレゼントを悩んで用意する私の姿とか。
全部が当たり前にあったはずなのに、出来事だけは覚えているのに。
自分の暖かさも、あの時の温もりも、感情も、いつのまにか消え失せた。
でも、きっとこれでいいの。
大切なものは、大切だったことだけ覚えていれば、それで十分。
今の私には、今の私にとって大切なものがたくさんある。
それらを守ることに、一生懸命だから。
過去の自分と、貴方に、ありがとうの気持ちだけを持ちながら。
今日も私は、今を進んでいく。
人に話せない悩みも、今まで居場所がないと悩んでいたことも全て、ここでなら話せる。自分が一歩を踏み出せば、世界が変わる。今辛い自分は、明日には笑えるかな?そんなあなたへ。待ってるね。
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久保佳奈子
毎日は、進んでいるんだね。