2019.02.26
ちょうど一年前の今頃。
私は、実家を出た。
シェアハウスで家を出ていた時期はあったけれど、一人暮らしは、初めて。
会社の通勤が辛かったから、というのも実家を出る大きな要因の一つだったけれど。
私は実家から出なければいけないと思っていた。
何故って?
私の居場所は実家にしかなかったから。
私はここを失ったら、どこにも行けないと思っていたから。
自分の居場所は、自分で作らないといけないと思っていたから。
そんな思いを抱えながら、私は実家を離れた。
実家を離れた私は、自分だけの時間と暮らしを手に入れた。
なんだか大きな解放感があった。
私は一人で生きていける!なんて思ったりもした。
それと同時に、いつでも帰れる場所が出来た安心感を感じた。
実家は、それまでの私にとって、毎日帰らなければならない場所だった。
でも、一人暮らしを始めてから。
実家は、いつでも帰れるけれど、帰らない場所に変わった。
たまに実家に帰って、自分のベッドで寝ているとね。
突然大きな闇に飲まれるような感覚に陥るの。
そして、突然。
時間が巻き戻されたかのように、昔の自分が出てきてしまう。
このベッドの上で、苦しんだ時間。
泣き叫んだこと。
辛くて辛くて、もがいて、足掻いて。
どうしようもない闇に包まれていたこと。
その全てが、突然戻ってきてしまう。
今でも私は、実家のベッドで一人で眠るのが、とても苦手。
なるべく避けてる。避けたい。
まだこのベッドと向き合うほど強くなれていないから。
でも、いいの。
実家に居る私は、あの頃のままでも、いい。
あの頃の私は、たしかに死んでいた。
心が死んでいた。
心が死んだせいで、身体も死んでしまって。
全身ボロボロだった。
それでも、私は生きていたから。
だから私は、今も生きているの。
辛かった過去を美化することなんて、私には到底出来ない。
そんな美談を語る気は一切ないわ。
でも、辛かった時の私も、生きていたの。
自分が生きていた時間を否定しながら生きるのは、辛くない?
「自分を自分で認めてあげよう!」
なんて言ってるくせに。
過去の自分を否定してしまったら、今の自分も否定することにならない?
だから、このベッドの上に居る私も、私でいいの。
ここに居たことは、紛れもない事実だから。
私は、ここで毎晩眠っていたの。
このベッドに染み込んでいる私の涙は、私が生きた証。
このベッドの沈みは、私が動けなかった頃の記録。
どんなに辛くて苦しくても、このベッドは、いつでも私を受け止めてくれた。
ありがとう。
いつか君の上で、ゆっくりと眠れる位になって、また帰ってくるから。
「おかえり」って、大きな身体で、迎えてね。
人に話せない悩みも、今まで居場所がないと悩んでいたことも全て、ここでなら話せる。自分が一歩を踏み出せば、世界が変わる。今辛い自分は、明日には笑えるかな?そんなあなたへ。待ってるね。
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