2019.02.22

「美人だね」って言葉に苦しめられて生きてきた。

久保佳奈子

久保佳奈子

私にとっては普通の顔。人はそれを、「綺麗だ」と言う。嬉しいはずなのに。

私の何を知ってるの?

綺麗だね。

かわいいね。

高嶺の花だよ。

付き合いたい。

好きです。

…ああ、またか。

男が食いつくのは、いつも顔だ。

君は、私のドコが好きなの?

君は、私の容姿以外で、一体何を知っているの?

そんなに簡単に、食いつかないで。

何か話したことあったっけ?

君は随分と私に近付こうとしてくるのね。

私そんなに気に入られるようなことした?笑

ああ、いきなり下の名前で呼んできた。

悪いけど、お前は無期懲役。
私の部屋に土足で入り込んで来たので、もう二度と近寄らないでね。

サヨウナラ。

好きです。

好きです…?

うん。

それで?

うーん、それを伝えて、どうなると思ってるの?

というか、君は私の何が好きなの?

私は君のこと、何にも知らない。

そんな人にいきなり好きだと言われても…。

どうせ私の顔しか見ていないでしょう?

そんな風にしか思えない。

ごめんなさい。

サヨウナラ。

顔は綺麗で当たり前。

ああそうか。

私が毎日鏡で見ているただの自分の顔は、世間では綺麗とか、可愛いとか、評価されやすいんだ。

私の顔は、私にとってはただの普通の顔だけど。

可愛いと受け取られやすいんだ。

ああ、じゃあ私は、綺麗な自分で居ないといけないのね。
私は、綺麗であることを望まれているのね。

ならば私は、綺麗で居続ける必要がある。

綺麗だねって、言われ続ける必要がある。

私って、綺麗じゃないの…?

…ん、あれ?

君は私のことを、綺麗だと言わないのね。

あれ、私もしかして、今綺麗じゃない…?

今日の顔、なんか変…?

どうしよう、綺麗だと言われなかった。

私は期待に応えられなかった。

嫌われたかな。
気分を害してしまったかな。

ああ、自分の顔は、きっと醜いんだ。

どうしよう。
どうしたらいいんだろう。

醜い顔で、ごめんなさい。

私の鼻は、高くて綺麗?

私の鼻は、高いと言われる。

鼻筋が綺麗で整っているねと言われる。

でも、私にとってこの顔は当たり前だから、自分で見る鼻は小鼻が大きくて骨が出ていて、綺麗とは言い難い。

私の目は、大きくて二重が綺麗だと言われる。

でも、私にとってこの目は生まれた時から当たり前だから、左右の大きさの違いが気になるし、証明写真には目も当てられない。

私の歯並びは、とても綺麗だねと言われる。

でも、私はある人に昔言われた「前歯が大きくて少し前に出ているね」という言葉が忘れられなくて、毎日2本の前歯とにらめっこしている。

私の顔は、とても綺麗だねと言われる。

でも、私は大学生の頃に、ナンパの吐きゼリフで言われた「ブスのくせに」という一言が。

人生でたった一度だけ言われた「ブス」という言葉が、いつまで経っても頭から離れなくて、忘れられない。

期待に応えられなくて

こんなことを言ったら、贅沢だ、羨ましい、美人のくせに、って言われるんだ。

だから私は、女の子に嫌われるのが、小さい頃からずっと怖かった。
男性に贔屓をされるたびに、不安が募った。

やめて、嫌われたくないから、もうやめて。

ネチネチと女の子の嫉妬を感じることもあった。

私が貰ったラブレターを、女の子にビリビリに破かれたこと。
「私が好きな男の子は、あなたのことが好きなんだって、あなたは?」と問い詰められたこと。

学校で縄跳びが切られていたこともある。
筆箱を盗まれて、中身がグチャグチャにされて返ってきたこともある。
傘が昇降口で折られていたこともある。

そういう小さいこと、全部を私は笑い飛ばして、過ごしていた。

誰だよこんなことすんの。
マジでウザってーから、直接言えよ。笑
こういう一番タチ悪いのすんげー嫌い、ウケるわ。

そしてサバサバしてるフリをして、あっけらかんと、かっこよく生きてるフリをして、強がって生きてきた。

心の中でどれだけ泣いたか分からない。

私は、本当は、女の子なんだよって。

どれだけ言いたかったか、分からない。

美人として生きる。

顔の判断基準なんて、人それぞれ違う。

私のことを美人だと思わない人も当然居るだろう。

でも、私は世間に美人だと言われ育ってきて、美人と言われるからこその傷を知った。

もう、そんなのどうでもいい。

私は美人になる。

心が清らかで、決して自分をブスだなんて卑下せず、美しいものを美しいと言う。

私は、そんな人は美しいと思う。

ブスなんて、概念。

ブスになりたい人がブスになるの。

自分が自分を美しいとさえ思えない人は、どうあがいても美しくはなれない。

ブスを捨てて、美しくなろう。

 

人に話せない悩みも、今まで居場所がないと悩んでいたことも全て、ここでなら話せる。自分が一歩を踏み出せば、世界が変わる。今辛い自分は、明日には笑えるかな?そんなあなたへ。待ってるね。

 

久保佳奈子
久保佳奈子
1994年生まれのライター・エッセイスト。不安障害/うつの経験から、生と向き合うようになりました。健やかに生きるための方法や、メンタリティについてをメインに書いています。

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