2019.01.21

私たちは、キャバ嬢と風俗嬢に救われている。

久保佳奈子

久保佳奈子

私には無関係の世界だと思っていた、性産業。そんな仕事をされている方に、私の生活は守られていた。

風俗なんて行かないで

愛する彼氏に。
愛する旦那に。

キャバクラなんて行かないでほしい。
風俗なんて行かないでほしい。

そういう考えを抱く女性は、とても多いだろう。
間違いなくマジョリティ。

私も、そう思う。
行ってほしくない。
私だけを愛してほしい。

それだけにとどまらない。

キャバ嬢なんて、ロクな職業じゃない。
風俗嬢なんて、落ちぶれた人がなるもの。

性産業に従事する人に対する偏見さえ抱いていた。

でも、大学生だった頃。
そんな考えを疑うようになる授業を受けた。

女性は「女」を売る

私は大学で、歴史を学んでいた。
日本の近現代史、つまり明治時代以降について。
女子大だったこともあって、ジェンダーに関する内容に触れることも多かった。

ある日のゼミの授業で、大正時代の娼婦の生き様が描かれた映画を見た。

「娼婦」とは、自分の体を売ることを職業としていた女性のこと。

そこに描かれていた娼婦たちの生活は、私の想像を絶するものだった。

旦那に先立たれ、子供を育てるために、自分の体を売る女性。
貧困から抜け出す為の手段として、自分の体を売る女性。そんな女性たちをまるで「モノ」として扱う、店のオーナー。

彼女たちは、決して望んで自分の体を売ってなんていなかった。

生きるために。
命を続けるために。
誰かの為に。
明日の為に。

体を売らないと、生きていけないから。
体を売らないと、食べていけないから。

なんて悲しいことだろう。
なんて可哀想に。

私はまるで他人事のように、そんな感想を抱いた。

安心して夜道を歩ける世界。

その映画を見たあとに、教授は言った。

これ、現代にも通じるよね。
キャバクラや、風俗。
あとは、AV女優さん、とか。そういうお仕事をされている方の、
一体どれだけの方が、「女を売る」ことを望んでいるのかな?

彼女たちが「女を売る」ことを辞めたら、私たちにはどんな生活がやって来るかな?

ゾッとした。
瞬時にその言葉の答えが分かった。

現代にも、「女を売る」ことを「生きる為に」している人が居る。
やりたくて、やっているわけじゃない人も居る。

さらに、私はそんな女性たちに、一種救われている人間だ。

彼女たちがお金のために女を売ることをやめたら。

世の男性は、性を発散する場所を失う。
お金で解決する場所を失う。
法律の許す範囲内で、自分の欲を満たす場所を失う。

欲を発散する場所を失った男性はどうすればいいんだろうか?

道端で良いと思った女性を襲うのか。
許可もなく無理矢理事に及ぶのか。

そんな世界、安心して外を歩くことも出来ない。
夜道なんて、もってのほか。

そう。

私には無関係の世界だと思っていた、キャバ嬢や、風俗嬢。

そんな仕事をされている方に、私の生活は、ある種守られていた。

女にだけ設けられてしまった「セーフティーネット」

教授は、加えてこんなことも言っていた。

これはね、女性だけに出来てしまった「セーフティーネット」とも言えるんだよね。

女性は、生きるために、「体を売る」という手段が出来てしまった。

結果的にその世界に埋もれてしまって、そこから抜け出せない人も居る。

セーフティーネットとは言っても、けっして肯定できるものでもないよね。
もしかしたら、不幸なセーフティーネットなのかもしれないね。

ああ、なんてこと。

体を売ることがセーフティーネットだなんて。

自分の意志を持って、体を職業にされている方を否定するわけではない。

でも、それを「生きるために」「仕方なく」やっている人も居るんだ。

それが、長い長い期間。
平成という今の時代になってもなお。
終わる気配すらないんだ。

女性はどうあるべき?

かと言って、女性が体を売ることを正当化すべきでもない。

私は大学でこの授業を受けて、性産業の難しさと従事する女性への感謝を覚えるようになった。

今も、何が正解なのかも分からない。
簡単に「風俗をなくせ」「AVなんて廃止しろ」なんて言えない。

でも、女性には女性としての、尊厳もある。

とても根深い。

根深いからこそ、私たちはこういう事実に目を向けるべきなんだ。

今の私には何が出来るのか、正直分からない。
でも、こんな考え方があることも、知ってほしい。

 

人に話せない悩みも、今まで居場所がないと悩んでいたことも全て、ここでなら話せる。自分が一歩を踏み出せば、世界が変わる。今辛い自分は、明日には笑えるかな?そんなあなたへ。待ってるね。

 

久保佳奈子
久保佳奈子
1994年生まれのライター・エッセイスト。不安障害/うつの経験から、生と向き合うようになりました。健やかに生きるための方法や、メンタリティについてをメインに書いています。

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