2018.10.19
彼に出会ったのは2年前。バイト先の一個下の男の子。
初めて見た時はビックリした。だって、タイプど真ん中の顔面だったから。
もう、推すしかないでしょ。
好きなグループのメンバーと並んでも違和感なさそうな雰囲気。
彼に対して抱く感情は、アイドルの「推し」に対する気持ちと変わりなかった。
遠くから眺めているだけでよかった。目の保養でしかなかった。
そんな彼と、久しぶりにシフトがかぶった。久しぶりに2人きりでお喋りする。
「こないだ駅で見たよ」と言った。
「声をかけてくれたらよかったのに」と彼は言った。
嬉しい。接触を肯定された。私から話しかけてもいいんだ!
バイトが終わって家に帰っても
寝て起きて日付けが変わっても、ふわふわした気分。
帰り際に聞いた「お疲れ様です!」の声が耳に残ってる。
これはあれ?ファンミとかサイン会とかの後遺症ってやつだと思えばいい?
彼のことがもっと知りたい。
そう思ってスマホとにらめっこするけど、待てど暮らせど十分な情報が集まることはない。
「彼女いるの?」
「休みの日は何してるの?」
「好きな食べ物は何?」
「どこの香水使ってるの?」
アイドルなら検索すれば出てくるのに、どうして彼のことは何もわからないんだろう!
唯一わかったのは彼の音楽の趣味。正直、自分とかなり近かった。
彼がFacebookで「いいね!」してる歌手。その人のApple Musicのページには、「同じタイプのアーティスト」として、私の推しグループが出てくる。
そんなの、ハマるに決まってるじゃん。
馴染みのある曲調に、いとも簡単に耳が順応する。
毎日聴くプレイリストに、彼の好きな曲が増えた。
これを彼に、どう説明すればいいんだろう。日本では特に有名ではない歌手。
どうやって切り出せば、彼とお話できるんだろう?
そう。今、私は彼に近づきたい。眺めてるだけじゃ、足りない。
ドルオタとして充実した毎日を送ってたはずなのに、画面のこちら側に登場してくるなんて。
まったく、どうしてくれるの!
私には、アイドルの追いかけ方しかわからないのに。
人に話せない悩みも、今まで居場所がないと悩んでいたことも全て、ここでなら話せる。自分が一歩を踏み出せば、世界が変わる。今辛い自分は、明日には笑えるかな?そんなあなたへ。待ってるね。
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あやみん
私には、アイドルの追いかけ方しかわからない。