あと少し…私の背伸びに気づいて?

あと少し…私の背伸びに気づいて?

あと少しだけ…

「あと少し、私の成長を待って」

「あと少し、私の背伸びに気づいて」

そう言えたらどれだけ楽だっただろう。

一回りも年上の彼に追いつくなんて絶対に無理だった。

わかってたのに、それでも好きだった。

背伸びしてるのに全然気づいてくれなくて、「お前は大人だな」って言われたけど、私は全然大人じゃなかった。

本当はまだまだ子供だし、むしろ赤ちゃんみたいに甘えたがりだった。

でも、釣り合うためには大人ぶるしかなかったの。

そんなことにも気づいてくれないって、私に興味なかったんだよね。

澄まし顔が得意になった

感情的になってしまったら私が子供だってバレてしまうから。

喧嘩になったら捨てられちゃうから。

そう思ったら怖くなってしまって、心を静かに落ち着けては大人ぶって澄まし顔してた。

あなたが好きな私は私をどんどん消していった。

つまりあなたは、それだけの影響力があった。

私の頭の中を円グラフにしたら、多分8割があなただった。

そのくらい私の中に侵食してきたあなたは他の誰よりも私を変えていった。

私が私じゃなくなるくらい。

あなたが愛す私は私じゃなかった。

あなたが愛す私が本当の私だったらよかった。

濃いボルドーのグロスに巻いた赤い髪の毛。

長くて濃いマツエクにゴールドのアイシャドー。

ブラウンのアイラインは綺麗に跳ね上げた。

11センチのヒールにタイトなブラックのワンピース。

いつもの戦闘服だった。

後ろファスナーのワンピースはあなたが脱がせやすいように。

下着は真っ赤なものばかりだった。

赤と黒とレースが好きな私は下着が大好きで、淡い花柄なんてつけたらあなたに愛想尽かされると思ってた。

全部全部その程度で嫌われるくらいならやめればいいのにね。

今考えて見たら、戦闘服だって子供が背伸びしてるようにしか見えないな

あなたと落ち合う時間と場所

あなたと落ち合う時間と場所。

六本木、麻布、西麻布、新宿。たまに広尾や代官山。

代官山の緩い坂道沿い、綺麗で有名なマンションに住んでいた。

たまに彼の家に行けば、他の女の匂いがどことなく香ってきて嫌だった。

それに一番嫌だったのは、精一杯ヒールで背伸びしてるのにその靴を脱ぐこと。

脱いでしまえば、素が出てしまいそうだった。

気を許してしまいそうだった。

夜遊びや火遊びは得意分野。

怪しい煌めきと、誘惑まみれの街で腕を組んで歩くのは好きだった。

でもこの靴を脱いだら、全部バレちゃう。

気づいて欲しいけど、気づかれたくなかった。

私の背伸び…

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