秋、私は何度でも恋に落ちる。

秋、私は何度でも恋に落ちる。

出会いは鮮明に

春先に出会った人。
何故かしら、彼との初対面は、今でも鮮明に記憶している。

少しだけかけられた言葉。
あまり話をしてくれなかったこと。
何故か遠目で彼を見ていたこと。

春のふわりとした空気の中、彼を初めて見た。

秋、恋に落ちた。

秋、その人に恋をした。

1つ年上の彼が描こうとしていた未来に、憧れた。
彼が見ている視線の先を覗いてみたくなった。
ただただ、彼のことが知りたくなった。

彼の纏うすべてが光って見えた。
彼の言葉が、声が、表情が、
少し肌寒さを感じるようになった心に沁み渡った。

いつまで経っても始まる恋

冬になって叶ったその恋は、長く続いた。
同じ季節を何度も何度も、共に過ごした。
二人だけの記憶がたくさん積み重なっていった。

それでも。
季節を何度繰り返しても、私にとって、秋は恋の始まり。

翌年からの秋は、いつもよりあたたかい気がした。
夜の長電話で少し冷えることが嬉しかった。

季節のイロと香り

季節にはイロや香りがある。
四季を感じることは、恋のイロと香りを確かめること。

秋は、恋の始まりの季節。
あたたかく、強く、心をぎゅっと掴まれるような感覚。
少し冷たい風を避けるふりして、マフラーで赤い顔を隠す。
真っ赤な紅葉は、私の心と顔のイロ。

今年の秋は、まだ暑い。
あのイロも、香りも、景色さえも、やって来ない。

あの胸の高ぶりと共に、どこかに置いてきたのかしら。

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